キク科(Asteraceae)
科名はシオン属名(Aster "星の" 意味)の科名使用。

双子葉植物のなかでは最も進歩した植物群で世界には約20、000種あるといわれている。日本でも自生種約350種、帰化種約100種が生育しているとさ れている。
環境適応力に優れており・・・変異を起こしやすい性質を利用した園芸種や野菜種も多い。

頭(状)花の組み合わせでタンポポ亜科とキク亜科に大別される。
タンポポ亜科・・・全部舌状花のもの
キク亜科・・・外側が舌状花で中心部が筒状花(管状花) または全部が筒状花

 APG体系では12亜科を設定する立場もあるようだが、キク亜科で 1,130属16,200種 とキク科全体の8割を占める状況である。分類学的な意義に異存はないが・・・初心者レベルの私には不釣り合いの詳細化であり当分は無視する。   
 命名規約第18条5,6により代替名「Compositae(複生の・・・の意)」の科名使用が認められている。
 

ムカシヨモギ属(Erigeron)
属名はギリシャ語"eri(早い)+"geron(老人)となる。北アメリカ産の種が多い。  
 

ハルジオン(Erigeron philadelphicus) 春紫苑   
小種名はアメリカ合衆国の地名フェラデルフェア(Philadelphia・・・兄弟愛の意味)に由来です。大正時代に北アメリカから渡来し た帰化植物です。
この単語(philadelphicus)は地名(Philadelphia)を属名の性(男性・単数)と一致させた変化です。最初に使用しているのはリンネです(1753年)。アメリカ合衆国の独立前です。
「フェラデルフェア:Philadelphia」は1682年に人類史上初めて信仰の自由が保障された都市です。そのことに関係があるのでしょうか・・・?ただ単に原産地名(都市名)ではない・・・ことを期待しています。


ヒメジョオンと対比して『ハルジョオン』とも呼ばれますが、『ハルジョオン』という呼び方には疑問があります。
『ハルジオン』という名は、夏から秋に咲く"シオン属に似た花で春に咲く"・・・という意味合いだと想像します。『ハルジオン』と『ヒメジョオン』は同属 で"ジオン"よりも"ジョオン"が相応しい命名かもしれませんが、どちらも命名者は同じ牧野博士です。
"ジオン"と"ジョオン"で区別したのにはそれなりの理由があったのではないかと思います。

大型や小型、無毛品など変異品も多く、赤味の強い「ベニバナハルジオン」や舌状花が退化した「ボウズハルジオン」など特徴的な呼び名のある変化品もあります。
(2015.1.23)

下の3枚は舌状花の極めて短い個体。「ボウズハルジオン」に変異する途中でしょうか?
(2015.1.23)
 


ヒメジョオン(Erigeron annuus) 姫女苑  
小種名は"一年生の"の意味だが二年草的な性格も持つ。
明治初期に渡来した北アメリカ原産の帰化植物。北アメリカでは結石や利尿剤としても利用されていたらしい。

和名の『女苑(ジョオン)については根が白く女体に似るから・・・との説もあるが、私が数株の根を抜いて見た限り、どういう風な発想をしたら似ているよう に思えるのか解らなかった。

ですが小種名は男性を表しています。属名(男性名詞)と性一致のため"annuus"となり"-us"で終わっています。
 

(2015.6.27)


ヘラバヒメジョオン(Erigeron strigosus) 箆葉姫女苑  
小種名は"剛毛のある"の意味。
大正時代に渡来した北アメリカ原産の帰化植物。

日本では女性扱いですが小種名は男性を表しています。属名(男性名詞)と性一致のため"strigosus"となり"-us"で終わっています。
 

(2016.9.21 左2枚)
 

ヤナギバヒメジョオン(Erigeron pseudoannuus) 柳葉姫女苑  
小種名は"偽の姫女苑"の意味。
本種の扱いは図鑑や解説記事により異なっています。「"ヒメジョオン"と"ヘラバヒメジョオン"との交雑種」説、「ヘラバヒメジョオンの個体差」説が拮抗 しています。

参考目録(APGV Haston2009 )やYlistでは独立種として扱っています。「交雑種」説で説明する解説記事でも学名表記は標題表記 (Erigeron pseudoannuus) を使用しています。「・・・と***の雑種由来の種」と「・・・と***の雑種」の解釈が混同されているのではないでしょう か?

「ヘラバヒメジョオンの個体差」説は両者は同一種・・・と判断する立場です。牧野氏が一旦は別種ととして発表しましたが、後日に"同一種である"と訂正し た"牧野説"です。

(2016.9.25)



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