イラクサ科(Urticaceae)
科名はイラクサ属名(Urtica :"urere(焼く、傷つける)に由来)の科名使用。


カラムシ属(Boehmeria)
属名はドイツのC.R.Boehmerに由来。
雄花と雌花が同じ株につくが風媒花であることから雑種・変異が生じやすい。この雑種が無性生殖をおこなうのでさまざまな形態が保存され固定される。
葉の形、毛の有無、量等を区別の基準とするが非常に分類の難しいグループであるとされている。

Boehmeria
Georg Rudlf Boehmer 
1723・10.1−1803・4・3
 
ドイツの植物学者、医師。昆虫学者と しても著名。ライプニッツ大学で「ルードヴィッヒ」から植物学を学ぶ。
 


カラムシ(Boehmeria nipononivea) 茎蒸
小種名前半は「日本」で、後半の"niveaは「雪白の、雪の多い」の意味となります。


むしぶすま 柔やが下に 臥せれども 妹とし寝ねば 肌し寒しも
   
藤原麻呂(2−524)

下部は木質化します。和名は茎(幹:から)を蒸して皮を剥いで繊維をとったことによります。この繊維は丈夫で昔から越後上布などの上質の織物に使われてい ました。
自生品を「野マオ」と栽培品を「カラムシ」と呼んでいたようである。



アカソ(Boehmeria silvestrii) 赤麻
小種名「silvestrii」は人名:「Silvester」の命名規約・勧告60C(b)による表記です。よって「Silvester」なる人物に献名された小種名と仮定しました。
女性名詞化している属名に対しての男性属格表記・・・は意図ある命名と判断します。献名の対象となるような人物を探して見ました。しかし、それらしい人物はいましたが、決定的な根拠が見つからず確定には至りませんでした。 このサイトは”ブログ”です。図鑑ではありません。

小種名「silvestrii」は「Silvester」なる人物への献 名である・・・・との前提で、"Silvester"なる人物を探してみました。
ローマ教皇に4名の"silvester(シルウェステル・・・ラテン語読み:シルヴェステル)"の名前がありました(シルウェステルT世からW世)。 それぞれローマ教会史に名を残している人物で、献名の対象とされても不思議のない人物です。なかでも第33代教皇:シルウェステルT世には 「竜退治」の逸話(伝説)があり、その中に"麻の紐で竜の口を縛った"旨のくだりがあります。そのことに関連付けているのでしょうか?

「Silvestrii」の命名者(命名者記号”Pamp.”)についても確証あるデータは見つかりませんでした。

 「Silvester」の男性・単数・属格の文法上の変化形は「Silvestri」になり、”i”はダブりません。が、命名規約では23条・1「・・・。種形容語は1個の形容詞、属格の名詞、あるいは属名と同格の名詞であり・・・。」として、勧告60C(b)で人名が子音で終わる場合として「名詞の形容語は-i-(語幹接頭母音)と記念される人物の性と数に合致した属格語尾を付加して・・・。」とあります。例として”Lecard(男性) lecard-ii”、”Wilson(女性) wilson-iae” 等を挙げています。
献名されている小種名の表記も調べた範囲では全てが勧告60Cに沿った表記がされています。

 古い図鑑(エングラー体系に準拠) では「アカソ(Boehmeria tricuspis   前半の"tri"(3つの〜)で、後半は"cuspidatus(突形の)"の変化でしょうか?)」とする例が多いですが、Ylistや参考目録 (Haston2009 APG体系)では 変更されています。 
(2021.5.22)


ヤブマオ(Boehmeria longispica) 藪真麻
小種名は"小穂の長い"です。和名は藪に生える"マオ"ということです。"マオ"はカラムシのことです。


(2019.9.6)

メヤブマオ(Boehmeria platnanifolia) 雌藪真麻

小種名は "スズカケ属(platanus)の葉の"の意味となります。和名の"雌"は葉が薄く"ヤブマオ"よりは弱いから・・・とされていますが、本体は小さくも 弱々しくもない…そんな印象です。


(2019.9.6)


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