ミカン科(Rutaceae)
科名はヘンルーダ属名 (Rutae・・・ヘンルーダのラテン名(Ruta)に由来)を科名化。
サンショウ属(Zanthoxylum)
属名はギリシャ語"xanthos(黄色)"+"xylon(木の)"の意味です。
漢字表記「椒」は"木+叔(ショウ)"で「叔(ショウ・・・小さい実)」から"小粒の実をつける木"になります。
(2016.11.20)
※ ギリシャ語の"xanthos"
が"zanthos"に変化しているのはラテン語化した・・・結果なのでしょうか?
(2016.11.7)
※ カラスザンショウ属(Fagara・・・)とする立場もあるようですが、エングラー体系でもサンショウ属(Zanthoxylum)と表記する例が主流の
ようです。
カラスザンショウ属名「Fagara」はリンネがアラビア名をこの属の名に転用したものです。
サンショウ(Zanthoxylum piperitum) 山椒
小種名は"コショウのような辛みのある"の意味になります。
『椒』の文字だけで「サンショウ」の意味を表しており"山椒"は山地性であることを強調した呼び名(胡椒は"胡の地の椒"の意味)。
古名の"ハジカミ"は「ハジカミラ」の略で、ハジ=はぜる、カミラ=にらの古名・・・と解説されている。
新芽や果実の皮、種子が香辛料として、専門家だけでなく広く一般化して料理に用いられている。
ヤマアサクラザンショウ(Zanthoxylum piperitum f. brevispinum) 山朝倉山椒
小種名は" brevi(短い)"+" spinum(棘の)"の意味になります。「山椒」と「朝倉山椒」の中間的形態とされる。「山椒」と本種の関係については参考目録・Ylistは一致しているが、「山椒」と「朝倉山椒」との関係では相違があることから、本種と「朝倉山椒」の関係に違いが生じている(※ を参照)。
※ 「朝倉山椒」は発見地の兵庫県養父市朝倉に因む名前である。棘のないことが特徴で栽培もされている。
「朝倉山椒」について、参考の目録(APGV Haston2009)では「イヌザンショウ」の品種「トゲナシイヌザンショウ (Zanthoxylum
schinifolium var. schinifolium f . inerme・・・棘のない)*裸名」とし、Ylistでは「サンショウ」の品種「アサクラザンショウ(Zanthoxylum
piperitum f. inerme)」と分類している(2022.2.13)。発表年の時差(目録はYlistの10年前の発行)によるものと考えられる。
(2016.10.16)
イヌザンショウ(Zanthoxylum schinifolium var. schinifolium) 犬山椒
小種名は″schinus(ウルシ属)″+″folium(葉)″で"ウルシ属のような葉の"になります。
和名の"犬(イヌ)"は他の例と同じく「似てはいるが役に立たない」・・・の意味。本種の場合はサンショウのような香りがしないこと、食用利用されないこ
と。
果実は咳どめや消炎効果があり、果実の油は灯油や整髪料として利用もされている・・・ようである。
※ エングラー体系で「カラスザンショウ属(Fagara)」としている
場合の小種名は"mant″+"churica″で"満州の"になります。
(2015.5.1)
図鑑では「サンショウのような香りがしない」との解説が多いが、写真の個体は「サンショウ」の”狂い咲き”かと思えるほど
に強い香りがした。
(2017.8.14)
カラスザンショウ(Zanthoxylum ailanthoides var. ailanthoides) 烏山椒
小種名は"ailanthus(ニワウルシ属)″+"oides(に似た)″で"ニワウルシ属に似た"になります。
"ailanthus″はモルッカ(Morucca)島の方言で「天の樹(神樹)」を意味します。和名の由来は"人間があまり利用しないから"・・・とす
る説と"カラスが種子を好のむから"・・・の説があるようです。
本種は先駆植物:伐採跡地等にいち早く進出する。
※ 和名が"烏(カラス)"で形容されて
いる場合には「(色が)黒い)」とか「似てはいるが役に立たない(人間は利用しない)」の意味となることが多いのですが、本種の場合は例外でしょうか。
香りが悪く、辛みもないので食用にすることはあまり一般化していないようですが、若芽や若葉は「天婦羅」にすることもあり、独特の清涼感のある蜂蜜の「蜜
源」になり、葉は「駆風」、果実は「健胃薬」になります。また材は「下駄」や「桶」に加工され、枝はサンショウ同様「スギコギ」にできます。
※ メジロ等の小鳥により「種子散布(種
子が食べられている)」が行われるようです。またアゲハチョウの仲間にとっては重要な「食
草」になります。が肝心の「カラスが種子を好のむ」かどうかについては不明のようです。
※ 本種の場合"烏(カラス)"は「サ
ンショウの代用にならない:香辛料としては利用されない」に集約されます・・・私見です。
何故ならば、赤い実(イヌザンショウは褐色)が熟すと中から黒い種子がでる・・・のは3種に共通する特徴で本種に限るものではありません。
名前の由縁とされるほどに「カラスが種子を好のむ」であれば、これほど人間が利用しているのですから、衆知の事実となっているでしょう。
(2015.5.1)
(2015.4.29)
(2020.7.22)